がんになったら。

 

手術が決まった同じ頃、仕事でもいろいろあって体力的にも精神的にもいっぱいいっぱいになっていた。追い討ちを掛けるようにがんかもしれない告知。

 

“かもしれない” っていうのがまたね、モヤモヤとストレスの原因に…蛇の生殺し状態。

 

どうしても手術が必要なのか、本当に悩んだ。悩んで、調べて、悩んで、調べて、悩んで…の繰り返し。

 

散々ドクターにも説明されてきたけど、甲状腺がんは “がん” と名前はついているものの、進行は緩やかであまり悪さのしないものであるという。中には甲状腺がんになっていることに気付かないまま亡くなる人もいるらしい。それだけ大人しい、がん。

 

予後も良くて若年者であれば生存率95%と、がんの中でもぶっちぎりに良い。ただリンパや肺、骨に転移する可能性を持っているという厄介なやつ。

 

がんそのものというより、手術に伴うリスクが怖かった。

 

声帯の近くに腫瘍ができてしまっていると、手術の際にその声帯を傷付けて術後に嗄声(ガラガラ声)になるおそれがあったり、最悪の場合は喋れなくなる。

 

首に大きな傷が残るのも、とても嫌だった。

 

器量や体型はまあ置いておくとして、首の長さとデコルテは褒められることも多くて、わたしが唯一自信の持てるからだのパーツだった。そこに傷が出来るなんて。

 

オフショルなんかは着れなくなるんだあ…と、悲しくなった。

 

 

眠れないくらい悩んで、朝起きたときの疲労感は凄まじく、仕事に遅刻することが多くなった。最初は始業に間に合わなくて、次第に15分、30分…。

 

なんとか仕事をこなしていても些細なことで傷付くようになって、社用車の中で大泣きする日が続いて。ついには会社にも行けなくなった。

 

上司に病気のことと気持ちの整理が付かないことを話した。休職させてほしいと思っていたけれど、それを受け入れてくれる雰囲気は全くなかった。泣く泣く、仕事は辞めることにした。元々辞めようと思っていた仕事ではあったけど、この先、通院入院手術にかかる費用を思うと収入を断たれるのはかなり痛かった。

 

 

 

不安をひとりで抱えきれなくなって、何人かの友人に話を聞いてもらった。早めに見つけてもらえてよかったね、とみんな口を揃えて言った。

 

うーん、やっぱり手術するのが正解なのかな… 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なんて。

 

手術までの過ごし方とか術後のことを書いておいたら、偶然ここに行きついた、これから手術受ける方の参考になるかなあ?とか

 

どんなブログにしたいかという抱負なんかも書いていきたかったんだけど、上手くまとまらないね。文章もだけど、感情が。気持ちがまだ全然ついていけてない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

術後、病理検査をした結果

ステージIの甲状腺乳頭がんと診断された。

 

病理検査に出した検体(左右の甲状腺とリンパ節)のほぼ全てからがん細胞が検出されて、良性と判断して切除しなかった腫瘍(声帯の近くに癒着があったから取らなかったらしい)のなかにもがん細胞が残っている可能性が高いので、

 

将来、骨や肺に転移が無いようにアイソトープ治療を受けることになった。

 

ざっくりと、飲む放射線治療みたいなイメージ。また入院しなきゃいけない。放射線を体内に取り込むから、隔離されるんだって(きゃー)

 

詳しい説明を受けるために今度はまた違う病院へ行く。札幌。毎回付き添いをお願いしている母には申し訳なさでいっぱい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いくら死なないがんだと言われたって怖いもんは怖い。確かに膵臓とか悪性リンパ腫に比べたら全然危なくないんだろうけど、それならなんでそもそもガンって名前がついてるんだよ。

 

死なないがんなのに落ち込んでるなんて馬鹿じゃないの?みたいなドクターの記事を見かけて殺してやりたくなった。だったらあんたが、わたしと代わる?

 

実際からだにメス入れて、しかもこんな目立つところに傷残って、毎日毎日くすり飲んで、心もからだもとても傷付いて…

 

 

 

 

 

 

疲れたよ。